障がいがあっても自分らしく暮らせる社会を創る|特定非営利活動法人 静岡市障害者協会

静岡市障害者協会は身体・知的・精神という障害種別を超えて、障がい者が暮らしやすい社会の実現をミッションとして活動を続けています。2005年に設立し、2011年にNPO法人化、2017年に認定NPO法人となり、2019年12月には非営利組織評価センターからグッドガバナンス認証をいただきました。当初から、障がい者がその人らしく暮らせる社会を創ることをミッションに掲げ、当事者団体として、当事者の人権と権利を守るため、社会参加や差別解消、QOLの向上を目指し、障害者権利条約の理念「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」をスローガンに活動しています。日頃は相談支援機関として、静岡市から委託事業の基幹相談支援センターを含む障害者相談支援推進センターを受託し、個別の相談を受けながら、市内10ヵ所の委託相談支援機関と連携して相談や支援、仕組みづくりを行っています。

断らない相談

 国は福祉の目標として「地域共生社会」や「断らない相談」など、きれいで真っ当なスローガンを掲げています。静岡市長もSDGs(エスディージーズと読む)をアピールし、その先には、「誰一人として取り残さない社会」を目指しています。これらの実現にまともに取り組み、市から委託された相談支援事業の中でやるべきだと考えたこと、例えば他機関との連携や解決困難な触法障がい者の相談、さらには災害時の要配慮者支援も行ってきました。

 国が今まで推進してきたのは「地域共生社会」と言っても、「障がい者のことは横に置いといて」、「高齢者のための」地域共生社会でした。また、「地域住民主体による」というのは、「使えるお金が無くなりましたから、自分たちで支え合ってください」という本音をカムフラージュするものでした。行政は、高齢者、障がい者、子どもなど分野ごとの縦割りの委託の相談支援機関に対して、専門外の事例にどう対応するかはあいまいにしたままだったため、現場は「65歳以上」とか、「障害者手帳の所持」とか理由をつけて「使えません」「お話を聞くだけです」と実質的に断ってきました。ところが2018年度から、専門でない事例には他機関と連携して支援せよと法律が変わりました。しかし市町の行政の反応も動きも鈍いため、現場の相談員には浸透せず、そして取り残されるのは「一人暮らしになった障がい者」などの支援が必要な人たちでした。さらに今後は、大きな変革の構想が掲げられ、相談機関の仕組みが分野別ではなく、地域ごとに全分野を委託する方向のようです。

 当センターでは高齢者と障がい者が同居の中で起こる8050問題や障がい者の差別や虐待に関する相談が増加しているため、高齢者や子ども、生活困窮や引きこもりの支援機関と連携することが大事だと訴え働きかけてきました。また、当初から障害者110番相談を受けて、どんな相談にも対応しています。今でも、制度の狭間にいる障がい者の支援は単独ではできないことを痛感しつつ、他機関に連携をお願いし、支援につなげようと努力しています。              

(写真は平成29年3月、静岡市こころのバリアフリーイベント(市内葵区開催で静岡県弁護士会の協力を得て出展した「弁護士相談」テント)での相談風景です)

誰一人取り残さない支援

当協会は静岡市にて「SDGs宣言」をしており、「誰一人取り残さない」の実現に向けて、本気で活動しています。(参考:https://www.city.shizuoka.lg.jp/000847590.pdf

 例えば、司法と福祉の連携については、大きな課題があり、やりがいがあります。障がいがあるために罪が罪だとわからず罪を犯したり、だまされて加害者になったりする人がいます。本人には社会の善悪の物差しが身についていません。コンビニでの万引きは悪いことと理解できる人でも、置いてあった自転車をちょっと借りるのがいけないということが理解できないのです(占有離脱物横領罪)。福祉には強制力がありませんので、本人が助けを求めないと福祉の支援が役に立ちません。さらに、福祉サービスである通所事業所はほかの利用者を守るためと言い、本人を拒否することが多いのです。そして、本人はもちろん家族も地域から孤立し、取り残されていきます。だから、弁護士には安易に不起訴や執行猶予をとっても本人のためにならない可能性があることを伝え、私たちができることは通所施設やグループホームへのお願いや民間不動産と交渉し受入体制を作ることで、緊急時に駆けつけられる体制を整えています。

 特に性犯罪や累犯の場合の福祉の手立ては少なく、また発達障がいのある人を刑務所に入れても矯正教育が再犯の防止には効果がないことも分かっています。刑務所には軽度の障がいがある人が多いと言われていますが、ここでの生活には障がいに配慮した支援が十分あるとは思えません。なにか工夫が必要なのではないでしょうか。
             (写真は静岡刑務所の見学の様子です。)

 彼らが罪を犯すのは、悪意があるからではなく、障がいがあるからです。福祉で再犯を防止することはできませんが、生活に福祉の支援や目があれば再犯の可能性は少なくなります。福祉と司法がそれぞれの立場と事情を超え、一歩ずつ歩み寄ることが必要です。

 当協会では、弁護士や検察庁、裁判所への障害理解の啓発や働きかけも行っています。誰一人取り残さない社会のためには、司法や福祉だけではない、行政や医療、教育など他分野との連携が欠かせません。その人がその人らしく暮らせるための社会への働きかけと、当事者本人の社会復帰の動機付けを同時に進めることにより、誰もが取り残されない社会を創ろうとうと努力しています。

災害時にも取り残されない支援

 地震・大雨・土砂崩れ・暴風等々・・・。自然災害は毎年どこかで発生しており、災害に対し、命の危険性が一般の人よりも高くなる要配慮者への支援が課題となっています。昨今の自然災害の死者のうち、高齢者や障がい者の割合は、一般の人たちの2倍以上というデータもあります。適切な支援を受けていれば助かった命もあるはずですが、支援を要する当事者自身がどこでどのように生活しているのかが分からなかったからだとされています。

 静岡では「東海地震がいつ発生してもおかしくない」と言われて既に40年以上が経過しており、東日本大震災以降は南海トラフを震源とする地震への対策が叫ばれています。静岡は防災意識が他の都道府県よりも高く、確かに避難訓練まではよくできています。しかし、避難所の立ち上げ運営の実践的な訓練はまだですし、災害時に様々な配慮を必要とする方々へのアプローチはほぼできていないと言えます。高齢者であれば、その地域に長年暮らしている住民として支援は当たり前なのだと思いますが、こと障がい者となると、そもそも地域とのつながりが薄く、名前と顔が分かる地域の仲間だと思われている人は少ないでしょう。日頃から存在も顔も分からない人を災害時に支援するでしょうか。

 当協会では2007年から、障がい者の防災についての取り組みを始め毎年1回、障がい者も参加しての宿泊型避難所体験訓練を地域住民と共に行っています。障がい者が地域の方々と一緒に避難所の宿泊体験をすることにより、最近はお互いに顔見知りになってきている方も増え、それぞれの事情やどんな支援がなぜ必要かが分かるようになり、継続的に訓練を行っている成果が少しずつ見えてきています。

 しかし、人口2万人強の1小学校区での取り組みが市内になかなか広がらず、南海トラフ地震では市内には、取り残される障がい者が多数出ると危惧しています(静岡市の人口は約70万人)。障がい者も参加する宿泊型避難所訓練を他の地域にも広げることにより、災害時だけでなく日頃の助け合い社会の実現につながるよう、今後も活動していきます。

         (写真は災害時の宿泊防災訓練の時の様子です。)

ご支援の使い道

障がいのある人が自分らしく暮らすことのできる社会づくりを実現するため、以下の事業資金として活用させていただきます。

 1)市からの委託事業(相談支援事業)だけでは対応が難しいケースへの取り組み
  ・触法障がい者への支援
    留置所での面会、弁護人・家族との打合わせ、支援の組み立てと調整
    起訴後の拘置所での面会、弁護人・家族と打合わせ、更生支援計画の作成、出廷
    生活の場、日中活動の場の確保のための福祉事業所や民間事業者等への折衝
  ・被害を受けた障がい者への支援


 2)災害時に取り残されないようにする仕組みづくり(防災、危機管理)
  ・障がい者が参加する地域防災訓練等への企画運営面での参画、マニュアル作り
  ・災害時にも支援があるような仕組みを日常的な支援体制や計画の中の盛り込む
  ・避難所での要援護者支援と感染症対策、在宅避難者の支援など


 3)遠隔地にて行われる先進的な研修や事業への参加
  ・解決困難な事例や課題が取り扱われる、東京・大阪等開催の研修等の交通費、宿泊費等

 「誰も取り残さない、誰も取り残されない、誰もが参加できる社会づくり」を目指した活動に、ご協力をお願いいたします。 

寄付募集元

GoToドネーション実行委員会

応援する